職人がつくるバイオリン

EN

バイオリンづくりにかける
こだわりの技術と伝統

表板・裏板削り

音ずくりに欠かせない計算された繊細な起伏は、十数種類の自作鉋と卓越した職人技が生み出す

バイオリンの本体を構成する表板と裏板。音量・音質を決定する重要なパーツとして存在しています。表・裏面それぞれ自作の鉋で削り、厚みを調節していきます。

削る部分のそれぞれのカーブにあった数種類の鉋を使いわけ、長年培った技術で板の起伏をつくりあげます。

鉋は自作。削る表板・裏板の曲線に合わせアーチ状に加工します。
削り台も鈴木バイオリンのオリジナル。
削る際に材料をしっかりと固定するものですが、表裏の両面に使用でき、机下につながるワイヤーで手だけでなく足でも台を巧みにあやつることができます。
地道な工程だからこそ、効率性も考えられた道具と職人の技術で表板・裏板の繊細な厚みを調整していきます。
表板・裏板削り

木は素直。職人の技をダイレクトに結果として映しだします。材料のそれぞれの特性に合わせて技術も変化します。職人は木と会話しながら音造りをしています。

表板・裏板削り

表板・裏板削り

1日でできるのは表板裏板の5セット程。それは人の手のみで行う所以の数となります。

様々なこだわりや工夫がすべて伝統に基づいており、バイオリン独特のなめらかさやカーブはそこから生まれてくるのです。

ネック造り

職人技が作り出す曲線美、滑らかさの中に正確な軌跡を描く

バイオリンのもうひとつの顔とも言えるネック部分。スクロール(渦巻き状の部分)の出来具合もバイオリンの美しさを左右する要素です。またバイオリンを弾く上で、手で支える唯一の部分。奏者にとってバイオリンのよさを実感できるパーツのひとつでもあります。


ネック造り
ネック造り

カドのある加工前の材料は、職人の手にかかると非常に滑らかなカーブを描き、渦巻きの軌跡は正確なラインを成します。安定した確かな技術をもってしてなければ、造ることはできません。

ネック造り
ネック造りで一番難しいのは渦巻きの面の部分。繊細で細かい部分だけに、高度な技術が必要となります。端正でキメ細やかな仕上がりは職人の成せる技なのです。

木の性質や季節の変化にあわせ、技術も変わります。そんな職人の仕事を支えるのは、やはり自作のこだわり道具。彫る場所や角度に合わせて微妙にそれぞれ違います。
ノミや彫り道具は長年の使用により磨り減り、徐々に変形してゆきます。減りすぎると使い勝手や作業の効率も悪くなるので、自分で新しいものを再度こしらえます。

道具へのこだわりも技術に反映され、最後には製品となって現れていくのです。

ネック造り

ネック造り

塗装

バイオリンの表情を造るのではなく、
手工で加工した面や形のイメージや木目の美しさを最大限に活かす

バイオリンでいう塗装とは、バイオリンの顔、化粧みたいなもの。バイオリンが醸し出す雰囲気作りの要となります。塗装で一番大事なのは、手工で加工した繊細なカーブの面や形のイメージ、材料の木目の美しさを活かすように塗装をかけることです。

バイオリンを人が選ぶとき、まずは手にとってそして音を確かめます。そんな手に取るような気にさせる、人の心をつかむ表情を作り出すことも塗装の役目なのです。

塗料は、透明度の高いニスとヨーロッパからとりよせる12種類の天然樹脂をブレンド。その方法は常に同じではなく、季節や温度湿度の変化にもよってブレンド方法を変えています。良いニスを使うことは見た目だけでなく、音にもいいのです。
塗装

上級品のバイオリンともなると、目止めの塗料を5回、着色を15~20回、保護の透明のニスを5~10回、乾燥・研磨を含めて、1本塗装の工程が完了するまで60日かかります。

職人だからできる、計り知れない集中力と長年の腕をもってバイオリンに艶やかな装いをもたらしているのです。

塗装

塗装

お問い合わせContact

お気軽にお問い合わせください